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コラム

豚コレラ発生から1年以上経過しました

 平成30年(2018年)9月に岐阜県の養豚場で本邦で26年ぶりとなる豚コレラの発症が確認されました。その後着々と勢力を広げ、令和元年(2019年)7月には当院の隣接地域ともいえる長野県塩尻市でも感染猪が発見されました。9月に入ってからは同じく塩尻市の畜産試験場での発症が確認されています。諏訪圏内にも養豚農家さんがいますが、気が気ではないでしょう。

 実際のところ主流の愛玩動物たる犬や猫にはあまり縁のない話なのですが、ちょっと私なりにまとめてみます。

豚コレラとはなんぞや?

 豚コレラ。「ブタ」コレラではなく「トン」コレラです。家畜の豚およびその原種である野生の猪に感染するウイルス性感染症です。「ブタ」コレラでない理由はちゃんとあり、細菌性感染症である「ブタコレラ菌感染症(サルモネラ症)」と区別するために「トン」コレラと呼んでいます。

 コレラの名の通り重篤な消化器症状をもたらし、食欲減退から便秘、下痢を経て最終的には死に至ります。便やよだれ、涙、尿中にウイルスが排泄され、強い伝染力を持ちます。これらのために、発生農家では飼育している豚の全頭殺処分を行い、豚舎を徹底的に洗浄・消毒します。でないとヒトや車の流れに乗って別の養豚場に到達してしまい、一体の豚を全滅させてしまうおそれがあるのです。

 国内では初発は1888年、その後不活化ワクチンの応用により発生は減少したものの年間数千から数万頭の発生が続きました。1969年に現行の生ワクチンが実用化されてからは発生は激減し、1992年の発生を最後に発生は26年間ありませんでした。それからさらに8年経過した2000年10月よりワクチンを使わない防疫に転換し、豚コレラ清浄国となりました。ワクチンを使ってしまうと当然抗体が生まれますが、これがワクチン由来なのか病原体由来なのかは抗体だけでは区別できません。「抗体が出たなら清浄じゃないんじゃない? 病気あるでしょう?」と言われてしまい清浄国と認定されなくなります。これがワクチン打つの打たないのともめている理由です。

一般人にできること

 豚コレラはペットや人間には感染しません。感染した豚肉を食べてもなんともありません。食欲が落ちて衰弱した分肉質が下がり、美味しくなくなるくらいはあるかもしれませんが、「病気がうつる」という点については一切気にする必要はありません。そもそも食肉処理場で全頭検査を受けているので、感染の疑いありの時点で除外され、流通に乗ることはありません。野生猪を食べる機会があればひょっとして? という程度ですね。

 しかしながらこれだけ広まってくると、特に猪の出没する山間ではそこらへんにウイルスが転がっているかもしれません。もうすぐ始まる猟期に備えるために猟師さんが講習を受けているようで、その話を伺えたのでいくつか抜粋していきます。猟師なんか関係ないというなかれ。ハイキングやキャンプ、キノコ採り、春になれば山菜採りなど、野生動物の生活圏に侵入する行動はいくらでもあります。

①養豚場に近づかない。

 近隣の養豚場の場所は調べておきましょう。もしかしたらあなたの靴や車のタイヤにはウイルスを含んだ土がついているかもしれません。それらが運悪く養豚場に入ってしまい、豚に感染したらその時に飼育中の豚は全頭殺処分です。農林水産省HPでデータが公開されていますが、処分した豚の頭数は一農場あたり数百頭から多いと数千頭です。農家さんにとっては文字通り死活問題です。特に用事が無い、そこを通る必然性が無い限りは養豚場は避けるようにしましょう。

②靴やタイヤを洗浄、消毒する。

 猪の感染が報告されている地域で猪の出没する場所を歩いた後は、まずはその場で靴の泥や土を払い落としましょう。そうして極力持ち帰らないようにしたうえで拡散に気をつけます。可能であれば靴を履き替えて、ビニール袋などにしまえるとよりいいでしょう。車のタイヤも同様に汚れを落としましょう。帰宅後は改めて靴やタイヤを水洗いの上で消毒します。「逆性石鹸」というものが有効です。ドラッグストア等で販売しているものもあるので探してみてください。《注意:逆性石鹸と普通の石鹸を混ぜて使うとどちらの効果も出ずにヌルヌルになります》

 靴やタイヤとは違いますが、犬の散歩で猪が出るような場所を歩く際は、やはり帰宅後でいいので足をよく洗いましょう。転げまわるようなら全身洗っちゃいましょう。足先だけなら消毒も可能です。猫はどこにいってるかわからないので、室内飼育を徹底したほうが無難です。この状況だと、神経質になった養豚農家さんが侵入してきた野良猫・外飼い猫に対して凶行に走っても私はフォローできません。

 

 最後ちょっとキツくなりましたが、基本的にはこの2点です。最上はウイルスがありそうなところには近づかない。実際には峠道や山間の道を走る車によって常に拡散はされていると考えられます。なので洗浄・消毒して拡散しにくくしておいて、養豚場には近づかない。これだけでいいです。時期的にキノコ採りで入山する方もいるでしょう。県からの広報を出すとのことなので、アンテナ立てておいてください。

ペットは犬や猫だけではない

 去る7月、塩尻での発生の報が駆け巡ったあと、ある方から問い合わせを受けました。

 「ミニブタを飼ってるんですが……」

 そうです。ミニブタも豚です。豚コレラに感染します。しかしながら、恥ずかしながら全く想定していない事態だったので各所に問い合わせまくりました。最終的には家畜保健衛生所から詳しいお話を聞けたので、参考までに記しておきます。

①ワクチンを打ってはいけない。

 どうやら最初のほうに書いた「ワクチンを打たない防疫」の範疇が「飼っている豚全体」に適応されるらしく、食用じゃないならいいんじゃないかと考えていたんですが駄目だという指摘を受けました。

②飼育環境整備で対応する。

 これまた「豚の飼育」が養豚しか想定されていないがためのことと思われます。ぶっちゃけ養豚場の環境整備の話でした。大前提として外には出さない。飼育者はウイルスを持ち込む可能性があるので家の出入りの際気をつける(洗浄・消毒)。豚と触れ合う前には手を洗い、可能であれば衣服を替えるか、一枚羽織るなどする。ということでした。

③飼育の届け出をする。

 いつ制定されたルールかまでは聞きませんでしたが、少なくとも長野県では「豚を1頭以上、あるいは鶏を1羽以上飼育している場合は家畜保健衛生所に届け出る」というルールがあるそうです。鳥インフルエンザやそれこそ豚コレラなどの家畜伝染病発生時に調査を迅速にするためのデータ作りでしょう。飼育されている方は、管轄の家畜保健衛生所に確認してみてください。

 

 ここからは私の想像です。どうやら現行法では豚の飼育は養豚しか想定していないようですが、だからこそペットの豚が家畜伝染病に感染した際には同様の対処を要求される可能性があります。すなわち、ニュースで見るような埋設措置です。あれにも実は厳格なルールがあり、やれどれくらいの深さだ、やれ地下に浸透しないように防水シートを張れだ、それらを自分の敷地内にしろだ、結構大変です。ひょっとしたらお骨も残せないかもしれません。そんなの悲しすぎるので、個人レベルでは大変かとは思いますが、できるだけの環境整備をしてあげてください。

 また、長野県はじめいくつかの県で飼育豚へのワクチン接種が実地される向きになりました。そのため、ひょっとしたらペットのミニブタに対しても使えるようになるかもしれません。ワクチンの準備に時間がかかるでしょうし養豚場が優先されることとは思いますが、情報が入ればまたお知らせしたいと思います。

2019年9月29日

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