夜な夜なガタガタと音がする。
ある日意を決して覗き込んでみるとそこには無数の子供の手形が……!
もはや有名な話だと思いますがアライグマの指は5本あり、その足跡はまるで子供の手形のようにも見えます。ラスカルだったり、綿あめを洗ってしまって悲しそうな仕草だったり人気がありますよね。ところが彼らはなかなかの問題児です。
まず最初に、温厚そうな見た目に反しなかなか凶暴です。ちょっとした犬なんて目じゃないくらい立派な牙を持っています。前後左右合わせて20本の指には鋭い爪も生えています。そもそも肉食傾向が強いので闘争本能も強いでしょう。実は私は見たことないのですが、ラスカルも最後は手が付けられないほど暴れるようになって野に放つ、というストーリーだそうで。飼育動物は最後まで責任を持ちましょう。ではなく、野生のアライグマには安易に近づかないようにしましょうという話。
第二に、彼らはこちらから近づかなくてもあちらから寄ってきてしまいます。そりゃそうですよね。街の中には美味しい食事(農作物や残飯、野良猫への餌付けもかな?)と雨風をしのげる住処(まさに屋根裏)があるんですから。当然農作物被害や、人間あるいはペットへの攻撃性を意識しなければなりません。
第三に、これはアライグマに限りませんが、屋根裏で生活されるとそこで出すものを出してるわけで、異臭や家屋の傷みにつながります。
そんなこんながありまして、現在日本では特定外来生物に指定されています。北米原産のこの動物はどうやら日本の気候に適応し定着してしまったようです。
なんで突然アライグマの話かと言うと、4月だったと思いますが、目撃・捕獲があれば情報を寄せてほしいという話が舞い込んだんです。東海や北海道でのアライグマ定着の話は知っていたのですが長野については聞いたことがなく、なんのこっちゃと調べてみました。するとどうやら2001年の軽井沢での発見から、諏訪や南信で散見されるようになっているそうです。で、とあるNPO団体が独自に分布調査をしている様子です。内容からしておそらくこの団体の話が伝わってきたのかなと。
上ではざっくりと流しましたけど、このサイズの外来生物って国内には天敵がいないんですよね。上位の捕食者だったニホンオオカミはとっくに絶滅していますし、熊だって数は少なく、そもそも肉食傾向が強いわけでもなく。つまり一度増えてしまうと自然には減らないという大問題があるんです。そして何やら繁殖の成功率も高く、子供の死亡率も低い。寿命は自然界で13~16年。農作物の食害に加え、固有在来種を捕食したり営巣地を荒らしたりと。また人獣共通感染症であるアライグマ回虫を持っている可能性があったり、もし検疫を通さず密輸された個体が野生化していたら狂犬病を持ち込んでいる可能性があったり。うん、なかなか厄介な動物だ。
これが定着する前に対策を立てるための分布調査なんでしょう。最終的には県や国にまで情報は到達するでしょうし、個人的にも協力していきたいところです。これを読まれた方も、もし目撃例があれば当院に(あるいは直接NPO団体へでも可と思われます)ご連絡いただければ幸いです。
また、アライグマと並んでアメリカミンクの情報も集めているようです。アライグマが全国で確認されているのに対してこちらは主に北海道ですが、群馬県やそれに隣接する長野県内の一部でも確認されているようです。やはり攻撃性が高く、完全肉食性なので様々な固有在来種が被害を受けることが予想されます。動物そのものに罪はありませんが、人間がしでかしたことの延長である以上、人間が手を下さなければならないでしょう。
そもそも「特定外来生物」ってなんだっけ? と改めて疑問に思ったので、備忘録的に調べたところをざっと書いておきます。
・飼っちゃだめよ
・逃がしちゃだめよ
・生きたまま運んじゃだめよ
・輸入しちゃだめよ
ざっくりこんな感じ。ちょっと驚いたのは捕獲したその場で開放すること(釣りで言うキャッチアンドリリース)は、実は規制されていないようです。ただしあくまで法として規制されていないだけで、各自治体によって規制されていることもありますので、その点はご注意ください。
2018年6月15日
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